■ピアノを習う目的

ピアノを弾くということは、決して音大に行くとかコンクールに入賞するとか、はたま
たピアニストになるとかいうことが最終目的になり得ません。

ピアノを通じて自分自身がどれだけ音楽に満足して触れることができ、そして音楽によっ
て自分自身の人生をどれだけ豊かにできるかということに尽きます。

だから個人によって、また環境、時代によって個人の音楽(ピアノ)との関わり合い方
が異なるのは当然です。

音大に行ってピアニストを目指すことはその一つであることには違いありませんが、最
終的に自分自身が音楽によってどれだけの満足を得られるかと言う観点に立った時、そ
れは余りに多くの中の一つの選択肢であることは言うまでもありませんし、あくまで「手
段」であることを忘れてはなりません。

技術を学ぶことは表現力を広げる多きな要素ではありますが、道具を磨いたものの表現
するものがなく、道具を磨いた自負と自信と見栄だけあるいうのは最大の悲劇です。

前述の通り感受性の幅と深さを広げることと、論理的に音楽を理解する能力を持つことが、
磨いた技術を自分の満足に貢献させる上で重要なことです。

音楽のジャンルによって感受性の幅や深さ、また知識の面でそれぞれ広がりがあることは
言うまでもありません。

格好良く弾きたいという気持と身体で直接感じるリズム感とベースの刻みと黒人霊歌の
歴史の知識のベースを持たずジャズを弾くことがありえないというようなことです。